2015年7月29日水曜日

「冥途のみやげ展」と「ヘレン・シャルフベック展」



うらめしや~、冥途のみやげ展






















最初に一室目(1章、2章)は、掛け軸がずらりと。
薄暗い照明で、所々に灯籠が置かれていて、雰囲気充分でした。

でも、私的にはあまりぐっと来るものはなかったです。

河鍋暁斎の幽霊画もあって、やっぱり目は引きました。

最後に展示されている、
鰭崎英朋の《蚊帳の前の幽霊》 の画にかけたのか、
蚊帳がホールの真ん中に吊り下がってさがっていました。


二室目(3章、4章)は、錦絵とか、浮世絵とか、能面とか。


男性の幽霊の作品も何点かあったけど、やっぱり滑稽。
女の恨みつらみって怖いけど、
幽霊が様になるのはやっぱり女性なのね。


全体的に見てみて、
後期の展示作品の方が良さげな気がします。

最近の展覧会って「後期」に良い作品を持ってくることが多いんだよね。
やっぱり、集客を考えてのことだろうし、
前期に来るようなやつは「分かってる」やつだから、
後期も来るだろう(2回来るよね?)って考えなんだろうね。





ヘレン・シャルフベック展





















シャルフベックって、今回の展覧会で初めて知ったのですが、
とっても共感しました。

自画像が沢山あって、解説も色々とついているけれど、
自分自身を見つめるため、傷を癒すためであったんじゃないかと感じた。


《快復期》
26歳のときの作品。イギリス、コーンウォール地方のセント・アイヴスで描かれた作品。当時の題名は《初芽》であった。1888年、この作品でパリのサロンに参加。フィンランド芸術協会が買い上げる。パリ万博にも出品し、銅メダルを獲得。シャルフベックは国際的な名声を得た。シャルフベックが婚約破棄の痛手から立ち直りつつある心情が子供に託されたとも解釈されている。

《快復期》
《快復期》1888年 油彩・カンヴァス
フィンランド国立アテネウム美術館
Ateneum Art Museum, Finnish National Gallery/Hannu Aaltonen



少女に自分の姿を託したようなこの絵もそうだし、
子どもの絵、すべてに優しさと意志が感じられるんだけど、
足を怪我して歩けない自分を投影しているのかなと。

すべての展示作品を覚えているわけじゃないんだけど、
全身をきちんと書いている絵って、
3歳以下なんじゃないかと思われる女の子の絵と、
明確にモデルが居て、コンセプトが明確な絵だけなんじゃないかと。

上半身の絵は、自画像を含めて多かったけど、
下半身がはっきりと書かれている絵があまりなかったような気がするんだよね。

そういうことなんだと思った。













2015年7月28日火曜日

クレオパトラとエジプトの王妃展

クレオパトラとエジプトの王妃展


















古代エジプト展
メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神

去年に引き続き、夏と言えば「エジプト」な感じですかね。
去年は、東京都美術館でしたが、今年は国立博物館。

何度もエジプト系の展示を見ていると、
正直、レリーフとかありがたくも何ともなくなってくるし、
装飾品とかも似たり寄ったりだし、
よほど凄いものじゃないと目を引かなくなってきています…。

一番最初の展示で、
レプリカだけど、当時の部屋の様子と、
椅子とかベッドとかが置かれていて、
こいうのは、「初見」だったので良かったかなと。


写真を撮れるスポットが。






















東洋館が新しくなってから見ていなかったし、
「ミイラがあるよ!」って、
エジプトの王妃展の帰りのエレベーター脇に、
張り紙がこれでもかと張ってあって、
ごり押しだったので行ってみる。

 
パシェリエンプタハのミイラ(部分) エジプト、テーベ出土 第3中間期(第22王朝)・前945~前730年頃 エジプト考古庁寄贈

3室  2015年7月22日(水) ~ 2015年9月13日(日)
同時期に開催される特別展の関連展示として「親と子のギャラリー ミイラとエジプトの神々」と題し、館蔵の作品に他館からの借用作品を加えて展観する。当館におけるエジプト考古の代表作品である「パシリエンプタハのミイラ」を中心に「1、古代エジプトでは、死んだらどうなる?」「2、古代エジプ トでは、動物も神様だった!?」の2つのテーマで展示し、子どもたちに人気のあるミイラと、それにまつわるエジプトの死後の世界を中心に紹介します。
file:///Users/kamiyamamegumi/Downloads/20150722Family%20Gallery%EF%BC%9AA%20Mummy%20and%20Ancient%20Egyptian%20Gods.pdf


舟の模型

















牛の屠殺





















はい、ミイラ。
こちらは写真OKでございます。

















意外と見応えがありましたよ!




時間があったので、平成館と本館も。


キリシタン関係遺品にみる聖母マリア信仰 
平成館 企画展示室   2015年7月7日(火) ~ 2015年8月30日(日)
  
重要文化財 聖母像(親指のマリア)(部分) イタリア長崎奉行所旧蔵品 17世紀後期
イエスキリストの母マリアは、聖母として信仰されています。16世紀半ばに日本で布教を始めたイエズス会や托鉢修道会(フランシスコ会、ドミニコ会)は聖母マリアへの信仰が篤いことで知られるカトリック教会の会派です。そのため、日本でもキリストの教えとともにマリア信仰が広まりました。当館が所蔵するキリシタン関係遺品の中にも聖母マリアへの信仰を示すものが数多くあります。例えば、幼いイエスを抱く聖母マリアが描かれた絵画、銅版画、メダイは宣教師が布教に用いたものです。特にメダイは、制作年代により異なる聖母マリアの姿を見ることができます。

キリスト教禁止令が出された後、キリスト教信者かどうか確かめるため人々に踏ませた踏絵にも、聖母マリアの姿が表わされたものがあります。また、潜伏する信者たちは観音像を聖母マリアに見立て、祈りをささげました。これは日本独自のマリア信仰を伝えるものと言えるでしょう。

担当研究員の一言

様ざまな聖母マリアの造形をご覧下さい。/神辺知加
踏み絵も何種類か展示されていて、
踏まれてすり減っている感じが良く分かった。
展示してあるものの半分以上が重要文化財でした。





  
15室  2015年7月7日(火) ~ 2015年8月30日(日)
日本の医療は、江戸時代中期に西洋医学の導入によって飛躍的に進歩し、優れた蘭方医を多く輩出しました。明治維新以後は、欧米の近代医学を取り入れ、最近にいたっては遺伝子に基礎を置いた病気の発見や再生医療などに発展しつつあります。その一方で、江戸時代以来行われているさまざまな養生のあり方が、予防医学の観点から注目されています。展示では、日本最古の医学書である『医心方』や、東洋医学の基礎となった「つぼ」を示す銅人形、人々が親しんだ養生書、西洋医学の影響をうけた人体解剖模型、シーボルトの携帯用医療器具など、養生と医学との関連を考える上で重要な資料をご紹介します。


医学系の展示好きなんだよね。
特別展とかで見たことがあるものも何点か。




銅人形






















医心方 巻第22 婦人部
























鼻下長生薬
















「命を削ってる」の絵。






















河鍋暁斎の地獄極楽図。

















高村光雲の老猿





















歌川国芳の猫のすゞみ

2015年7月26日日曜日

「伝説の洋画家たち」と「キュッパのびじゅつかん」


伝説の洋画家たち 二科100年展
イブニングレクチャーがあるってんで、
急いで仕事後に行ったんですよ。
で、間に合ったので聞いてみたのですが。


【イブニング・レクチャー(学芸員又は二科会による展覧会の見どころ解説)】
日時:7月24日(金)、7月31日(金)、8月7日(金)、8月14日(金)、8月21日(金)、8月28日(金)
   各回とも19:00から約30分
会場:東京都美術館 講堂
定員:225名
※各回とも18時40分より開場します(定員になり次第受付終了)。
※聴講無料。ただし、本展観覧券(半券可)が必要です。
■1回目:7月24日
 講師:生方 純一(公益社団法人二科会 常務理事)
 講演テーマ:「100回展、そして…」

















なんか、結局、
この展覧会の見どころとかの解説とかじゃなくて、
二科会のごたごたの話でした。

新しく二科会の事務所を移す時の話。
東美より新美は賃料が3倍。
でも上の森にもあったので総合すると同じくらいの金額。
年会費を上げずに移動できた。
とか、
理事会が高齢で移動の企画ができないだろうということで、
移転実行委員会を立ち上げた。
とか、
二科会会員だったら面白いかもしれないけど、
純粋に、展覧会を楽しもうと来ている人には、
特に聞く必要がない話だったかと。

20分聞いて退場。






タイトルに期待しすぎた。

もっと「実は凄い!」
みたいな画家たちの作品が見られるのかと思ったけど、
結局、遠くから見て「○○の作風に似てるなー」と思って、
近づいてキャプションを読むと、
「○○に師事」とか書いてあって、
「やっぱりな」と思う作品が多かったです。

いまいちなにかが足りない。

いまいち有名になれなかったのはこういうことなのだな、
と言うことを再確認するには良い展示かと。

あと、二科展出展後有名になったり、
出展時にすでに有名だった方々がどんな作品を二科展に出していたか、
と言うのを見るにはいいかもしれませんが、
そういう作品って買い取られていて、
ちゃんとした美術館で普通に見られるからなーとか思ったり。


最終的に、二科展の会員さんとか、
自分が出品するような方なら興味深いかもしれないし、
勉強になるかもしれないけど、
やっぱり、二科展出展後、
出展時にすでに有名だった方々以外はそこそこだし、
全然伝説じゃなかったです…。

http://www.nika100th.com/gallery.html
ここに乗ってる作品だけですね。良いのは。はい。


「カフェ・パウリスタ」が
「なんでも鑑定団」で有名になった、
長谷川利行の「酒売り場」とかがあったり、
ハーバード大学出の仏陸軍の歯科医師の「中原實」の
「モジリアニの美しき家婦」とかうまいなーとか、
K.ジェレニェウスキーという、
ポーランド人の画家も二科展に出していたんだとか、
佐伯祐三の作品いいなとか、
そんなところです。
佐伯祐三の「新聞屋」は遺作で、
死の20日後の第15回二科展に出品されたもので、
個人蔵なので、見る機会は少ないかもしれないですね。






時間があったので、キュッパのびじゅつかん


いきなり、一番最初の展示の、
イントロダクション的なVTRが故障中で、
見られないという…。


とにかく並べるの大変だったろうなーと。




















キュッパちゃん、とってもかわいい。

へたすると、ゴミ屋敷の、
ものを捨てられない、ゴミを拾ってきちゃうっていう、
精神的にアレな子どもだけれど、
ちゃんと整理して、タグ付けて並べれば、
りっぱなコレクションになるってことね。

HPのアニメのキュッパちゃんの動きがめちゃかわ。




2015年7月14日火曜日

No Museum, No Life?

No Museum, No Life?


出品作品リスト


















17時くらいに着いて、
適当にプラプラと見ていたら、半分くらい見たところで、
「18時からギャラリートークがあります」とアナウンスが入って、
知らずにこの日に行ったのだけど、
「おぉ、今日はギャラリートークがあったのか!ラッキー」
ということで、ギャラリートークに参加して見て回りました。



この展覧会の企画者の
桝田倫広(東京国立近代美術館研究員)さんと、
新藤淳(国立西洋美術館研究員)さんの2人で解説してくれました。

2人とも若いのねー。


最初の挨拶の時に、
「19:30くらいの予定だったのですが、
長いと思うので19:15分くらいには終わるようにしようと思います」
と言っていたんだけど、
結局19:30まで解説してくれました。
凄く面白かった。

さすがに企画者だけあって、
この展示とこの展示をどうして並べたのかとか、
配置や選択の意図なんかも説明してくれたので、
とても分かりやすかったし、
なにより、2人がとっても楽しそうだったのが良かった。



これ、展示の始めに注意書きがあるんだけど、
意図はしていないと言っていましたが、
読んでおくと楽しめる気がする。



























反対側からのぞくと目が合う。



























F Frame 【額/枠】

四角く壁が開いていて、
自分が額縁の中にいるような写真が撮れる。
























ギャラリートーク中。




















H Hanging 【吊ること】

ポーランドの作家










































N Naked/Nude 【裸体/ヌード】
















こんな展示の仕方ないよね〜。

もちろん、各所蔵美術館の許可を取って、
この並びにしてあるってことなんだけど、
こんな並びで見られる機会は今後もないだろうなー。


















S Storage 【収蔵庫】
















この展示は、
ハンス・ハーケ(Hans Haake)がキュレートした、
「見解の問題」展@ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館
(Boymons Van Beuningen Museum, Rotterdam)を参考にしたそうです。



国立美術館5館中、4館が藤田の作品を持っているのだそう。
収納の仕方にも個性があって面白い。













最後の方の
Y You 【あなた】
のところで、
観者の存在はなくてはならないものなので、
見ているお客さんであるあなたも自信もアートで、
アートを形成いている当事者だみたいな説明があって、
実は、
Internet 【インターネット】のところは説明を飛ばしたが、
ハッシュタグがあって「#これからの美術館事典」でつぶやくと、
SNSに共有されて、このタグでつぶやくと直ぐに、
展示されているモニターにも反映される。
この展覧会で撮った写真をアップしたりすると反映されるし、
私たちも見つけたら「RT」などをするかもしれない。
まさに、「you」なんだ的なことをおっしゃったんですよね。

美術館は「あなた」なしにはありえない。
「観者」や「鑑賞者」、「来場者」や「お客様」という言葉は、少しよそよそしい。
作品も、展覧会も、美術館も、それを訪れる「あなた」の経験と記憶のなかに生起する。 
(図録から)


F Frame 【額/枠】のところで、撮った、
自分が額縁の中にいるような写真をアップしたりすると、
SNSに反映されるわけです。

これは、Beholder 【観者】にもかかってくるわけですよね。





ギャラリートークが終わってから、質問してみました。
「なんで、写真撮影OKにしたのか?」
「肖像権や著作権について詳しく注意書きがしてあるのはなぜか?
さっき話してくれた、SNSで反映されますよって言うの伏線なんですか?」と。


写真撮影の方は、
もともと、5つの国立美術館とも常設展は撮影OKなので、
特にこの企画展でも、もともと撮影OKな作品を撮影禁止にすることはないので、
ってことでした。


肖像権や著作権については、
「特に意図していなかったと」言っていて、
本当に意識していなかったみたいだったんですけど、
私的には、実はこの展覧会の肝だったんじゃないかと勝手に思ったのでした。










私はほぼメモも取らずに聞いてしまったので、
うる覚えで、きちんと書くことが出来なかった・・・。
文章できちんと説明するのは難しい・・・。



ギャラリートークの内容については、
一生懸命メモを取っていた方が沢山いらっしゃったので、
ググると良いと思うよ!
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