2019年7月3日水曜日

松方コレクション展

国立西洋美術館開館60周年記念松方コレクション展



神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)を率いた松方幸次郎(1866(慶応元年12月1日)-1950)は、第一次世界大戦による船舶需要を背景に事業を拡大しつつ、1916-1927年頃のロンドンやパリで大量の美術品を買い集めます。当時の松方のコレクションは、モネやゴーガン、ゴッホからロダンの彫刻、近代イギリス絵画、中世の板絵、タペストリーまで多様な時代・地域・ジャンルからなり、日本のために買い戻した浮世絵約8000点も加えれば1万点に及ぶ規模でした。

しかし1927年、昭和金融恐慌のあおりで造船所は経営破綻に陥り、コレクションは流転の運命をたどります。日本に到着していた作品群は売り立てられ、ヨーロッパに残されていた作品も一部はロンドンの倉庫火災で焼失、さらに他の一部は第二次世界大戦末期のパリでフランス政府に接収されました。戦後、フランスから日本へ寄贈返還された375点とともに、1959年、国立西洋美術館が誕生したとき、ようやく松方コレクションは安住の地を見出したのです。

開館60周年を記念した本展では、名高いゴッホ《アルルの寝室》や、2016年に発見されたモネの《睡蓮、柳の反映》など国内外に散逸した名品も含めた作品約160点や歴史資料とともに、時代の荒波に翻弄され続けた松方コレクションの百年に及ぶ航海の軌跡をたどります。




























モネ《睡蓮、柳の反映》デジタル推定復元
は、撮影可能でした。


いつも解説VTRが流れている、
入り口ホールに展示してあるので、
最後に戻ってくるのは大変なので、
中に入る前に撮ってください。











美術展を見に行ったというよりも、
歴史を知りに行ったっていうほうがシックリくるくらい、
作品とともに歴史も知ることができた。


第7章
北方への旅行
1921年に渡欧した松方は海軍からドイツのUボートの設計図入手を秘密裏に依頼されていて、派手な作品購入はその隠れ蓑であったともいわれます。実際、1921年8月頃に松方はドイツやスイスを訪れており、ゴッホやセザンヌなどフランス近代絵画のほかに、ムンクなどの北欧の同時代の画家の作品やフランドルの古画なども入手しました。またベルリンでは17点もの大型タペストリーも購入したといわれています。
ここでは、松方コレクションがその奥行を深めた北方への旅に光をあてます。

ドイツのUボートの設計図は、美術品でカモフラージュされ、
すぐさま日本に送られたらしい。

http://singetu.ddo.jp/karin_umi/06/01.htm
http://singetu.ddo.jp/uminaritamazu/matukata_tabi.htm



シャルル・エミール=オーギュスト・カ ロリュス=デュラン 
Charles Émile-Auguste Carolus-Duran 
母と子(フェドー夫人と子供たち) 
Mother and Children (Madame Feydeau and Her Children)






















オリジナルの額が絵の隣に展示してあって、
新しく作ったであろう額に飾られていたので聞いたら、
この展覧会のために修復をしたんだけど、
その際に絵画のどこかの部分(詳しくはわからないとのこと)
が5ミリほど大きくなってしまい、
オリジナル額に収まらなくなってしまったからとのこと。
今後は、削ってもいい部分を見つけて修復していき、
オリジナル額に戻せれば戻したいってことだった。



ロダン美術館保管時代に松方コレクションを写したガラス乾板
(ピエール・シュモフ撮影) 16点 

失われてしまった作品の記録用の活版ネガが展示されていたんだけど、
モローのサロメもあって、今の技術なら複製できそう。
てか、してほしい。









常設展内の企画展も。

日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち

19世紀後半から20世紀初頭のフィンランドでは、ロシアからの独立運動、そして1917年に誕生する新しい国家の形成と歩調を合わせて、社会における女性の立場や役割に大変革が起こりました。美術界においても、19世紀半ばに設立されたフィンランドで最初の美術学校は、当時のヨーロッパではめずらしく、創立当初から男女平等の美術教育を奨励しました。この時代の女性たちは、奨学金や留学のチャンスを掴み、国際的な環境で研鑽に励みながら、芸術家としてのキャリアを切り開くことができたのです。

日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念した本展は、独立前後のフィンランドを生き、同国の近代美術に革新をもたらした女性芸術家たちに焦点を当てる、日本で初めての試みです。この展覧会は、フィンランド国立アテネウム美術館の企画によって欧米3都市で開催された国際巡回展をベースに、日本オリジナルの内容に再構成したものです。同美術館のコレクションから、近年世界的にも注目を集めるヘレン・シャルフベック(1862-1946)や、パリでロダンに学び、彼の代表作《カレーの市民》の助手も務めた彫刻家シーグリッド・アフ・フォルセルス(1860-1935)ら7人の女性芸術家を一堂に紹介します。絵画、彫刻、素描、版画など約90点の作品を通して、生涯にわたり独自の芸術表現を追い求めた、彼女たちの多彩な活動と功績を是非ご覧ください。




















シャルフベックは、
「冥途のみやげ展」と「ヘレン・シャルフベック展」
で見てから気になっていた画家。

今回の展示では詳しい経歴の記載がなかったのだけど、
3歳の時の事故で足が不自由。


《快復期》(1938-39)  のデッサンが見られてよかった。












































常設展の新収蔵作品
ルカス・クラーナハ(父)[クローナハ, 1472年 - ワイマール, 1553年]
ホロフェルネスの首を持つユディト







思っていたよりも小さかった。
多分、皆さんそう思うと思うし、
解説にも「小ぶりながら保存状態にも恵まれ」って書いてあった。
その通り!


















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